食事制限だけではダメ? 睡眠と高血圧の関係 [不眠・睡眠障害] All About
睡眠不足が血圧を上げる
日本をはじめ欧米でも、睡眠時間が短くなる一方で、高血圧の患者さんは増え続けています。最近では、睡眠障害と高血圧の間に深い関係があることが分かり、不眠が難治性高血圧の原因の一つと考えられています。
25~74歳の血圧が正常な4,810人を8~10年間、追跡調査すると、647人が高血圧を発症しました。睡眠時間と高血圧の関係では、32~59歳で平均睡眠時間が5時間以下の人が、高血圧になりやすいことが分かりました。つまり、若い人や高齢者では少しくらい睡眠時間が短くても高血圧にはなりにくいのですが、中年層では睡眠不足だと高血圧になりやすい、ということです。
男女の違いも、明らかになってきました。47~67歳の一般住民5,766人を調べたところ、睡眠時間が5時間以下の女性は、7時間の人に比べて高血圧� ��ある割合が1.7倍でした。しかし、男性にはこの様な傾向は見られませんでした。
睡眠障害と睡眠の研究成果
同じ研究で、血圧が正常な3,691人を5年間、追跡調査したところ、20%の人が高血圧を発症しました。女性では睡眠時間が7時間の人に比べると、睡眠時間が6時間の人は高血圧になるリスクが1.6倍、5時間以下では1.9倍に増えましたが、男性ではあまり変化がありませんでした。
このように男女間で違いが出たのは、女性では閉経などホルモンバランスが変化すると睡眠障害を起こしやすいのに対して、男性では睡眠状態以外に喫煙や飲酒、仕事上のストレスも高血圧の原因になっているためと考えられています。
息が止まれば、血圧も上がる
睡眠障害の中でも、睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」と高血圧の関係は有名です。2003年にアメリカ高血圧合同委員会は、二次性高血圧の主な原因として睡眠時無呼吸症候群を挙げています。
血圧が正常で健康な人は、昼間に比べて夜間に血圧が下がります。夜になっても血圧が下がらなかったり、逆に上がってしまうタイプの人では、脳梗塞が起こりやすく、寿命も短くなることが知られています。
肥満のセルフヘルプ
睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、夜間に血圧が下がらないタイプの人が多いことが分かってきました。これは、睡眠中に呼吸が止まると、血液中の酸素が減って二酸化炭素が増えたり、睡眠中に何回も目覚めるたりすることが原因です。
食事の塩分を減らして、血圧を下げる薬をきちんと飲んでいるのに、血圧がなかなか下がらない人は、一度、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けることをお勧めします。
また、睡眠無呼吸症候群にかかっていると、高血圧以外にも肥満やメタボリック症候群、さらには高脂血症や糖尿病などの生活習慣病にもなりやすくなります。これらの病気があると、脳梗塞や心筋梗塞で寿命を縮めてしまうことになりますから、肥満や激し� ��いびきがある方は要注意です。
血圧と睡眠の両方によい習慣
では、どうして睡眠不足だと血圧が上がってしまうのでしょうか?
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まず、睡眠が不足すると自律神経の1つである交感神経が活発になり、アドレナリンなどの血液の中の興奮系物質が多くなります。これらは心臓の働きを強め、手や足の血管を収縮させて血圧を上げます。レース前のF1カーが、エンジンをふかすのと同じです。
また、睡眠時間が短いということは、社会生活の時間が長いということにもなります。いまの社会はストレスの元になることで満ち溢れていますから、ストレスにさらされる時間が長くなると、アドレナリンが増えて血圧がさらに上がってしまいます。
ストレスが続くと塩分が多い食品を好んで食べるようになり、体内から塩分を排泄する腎臓の機能も悪くなります。よく知られているように、塩 分は高血圧の元凶ですから、このことからも睡眠不足は高血圧の原因となります。
睡眠不足でも高血圧にならないためには、生活習慣を見直す必要があります。本当は、十分な睡眠時間を確保することが一番の解決法ですが、なかなか難しいことです。せめて睡眠不足がひどいときは、次のことに気をつけてください。
血圧が上がると、心筋梗塞のリスクが高まります。過労による突然死を避けるために、睡眠時間が短かった翌日は早めに仕事を切り上げて、家に帰って眠りましょう。睡眠不足の日は、塩分が体に溜まりやすく、インシュリンの効きも悪くなります。なるべく暴飲暴食や高塩分食品は避けてください。アルコールも、血圧や交感神経の活動を上げる作用があります。徹夜で仕事をやり遂げた翌日の打ち上げパーティーでも、アルコールはほどほどにしておくのが良いと思われます。
【関連サイト】
All About 睡眠時無呼吸症候群(SAS)サイト
All About 生活習慣病サイト
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